死亡した人の車の名義変更をしないとどうなるか
1 実際に車を使用している人が名義変更をしない場合
死亡した人の車の所有権は、死亡した人の相続人に移ります。
相続人が複数いれば、その複数人の共有状態になります。
相続人がいない場合、又は相続人がいても、その全員が相続放棄等で相続を拒否した場合は、特別縁故者が出てこない限り、国庫に帰属します。
また、自動車の名義変更は普通自動車の場合、陸運支局、又は自動車検査登録事務所で名義変更手続きをする必要があります。
今回は、「実際に車を使用している者」が名義変更をしない場合どうなるか、という視点で話を進めていきます。
2 相続のパターン別にご紹介します
⑴ まず相続人が一人で、その相続人が車を相続したことを前提に使用している場合、名義変更をしないとどうなるかについてです。
⑵ 次に、相続人が複数人で、かつその車をその相続人のうち一人が使用していた場合、名義変更をしないとどうなるかについてです。
⑶ 相続人不存在で国庫に帰属した場合、相続人ではない車の使用者に対して、国が引渡請求をすることになります。
この状況における車の使用者は無権限で車を使用しているので、そもそも名義書換もできず、国からの請求に応じざるを得なくなります。
ただ実際、自動車はローン会社の担保が入っていることが多く、国庫に帰属する前に、ローン会社が引き揚げることもあります。
この場合、国がローン会社に代わるだけで、使用者はその請求に応じざるを得ないのは同じです。
3 単独相続の場合
単独相続の場合、一見すると何の問題もなさそうに見えます。
しかし、15日以内に名義変更手続きをしないと、場合によっては50万円以下の罰金に処される可能性があります(道路運送車両法第13条第1項、同109条第2号)。
また、車を盗んだ盗取者が体よく売却の書類を整え、売買を理由に第三者に名義を移転してしまった場合、現在の使用者である取得者に対して返還請求をするにしても、苦労することになります。
これは極端な例ですが、そもそも自動車登録をしていない場合、当該自動車は、いわゆる即時取得(民法第192条)の対象となり、盗取者から入手した取得者が保護されることもあります。
つまり、盗取者が事情を隠して、自己が権利者と信じさせて未登録自動車を売却した場合、その自動車買主(取得者)の事情によっては、相続人は車を取り戻せないことになります。
仮に被相続人が自動車登録していた場合、盗取者から購入した者は、自動車登録が移転していなければ、権利を第三者に対抗できません。
ここで注意が必要で、相続人が、盗取者や不法占拠者に対して権利を主張できるのは当然なのですが、自己の名前で自動車登録をしていないので、その相続人もまた、買主などの第三者に対して権利主張ができないのです。
結局、買主も相続人も、どちらも権利を相手に対抗できないと言う状況に陥ります。
さらに何らかの障害があって、相続人が自動車登録できないと言う状況ですと、もうどうしようもありません。
以上から、名義変更をしないと、罰金刑を受ける、又は盗取によって車を失うなどの目に遭うかもしれないので、早めに名義変更をすべきです。
4 複数相続の場合
複数相続の場合でも、3と同じことが起こります。
複数相続の場合では、15日以内に名義変更手続きをしないと共同正犯になる可能性も否定できないので、早めに話を付けて、自動車を相続する人を決めたうえで、登録をすべきであります。
また、複数相続の場合では、盗取者からの承継人が出現した場合、単独相続の場合と比べて、全員の足並みをそろえないと、そもそも第三者に対抗することもできなくなります。
この場合も、早めに話を付けて相続人を決めてから対抗すべきであります。
5 車の相続手続きはお早めに
以上から、名義変更をしないと、場合によっては罰金を受ける、自動車を失う等の問題が生じるので、相続手続きをする際、自動車のことも含めて話をするべきです。






























